
2013年11月09日
負のサイクル


こちらでの業務の中に月二回の農薬散布があります。一回の量は約2000リットル。つまり一月に3〜4000リットルもの農薬、栄養剤をまく計算。この量が多いのか少ないのか知りません。が、こちらに来て二週間、僕そのハウスの中で生き物の姿を見た事がありません。あるのは作り物の様なマンゴーの木。ちょっと不気味な光景でもあります。もちろん散布する人は完全防備。裏には決して口にするなとか、細かな使用方法やらがびっちり書いてあり、つまりこれ体に悪い物なんですよね。そうしてまいた農薬は土に染み、海に流れる。宮古島は天然の地下ダムを飲料水にしてるのでいずれは僕らの口にも入る。現在宮古に何軒のマンゴー農家があるのかは知らないけど、おっそろしい量の農薬が地下に、海に流れているって事ですよね。もちろんこの状況は、このサイクルを作った人間が悪な訳で決して農家さんを責めるつもりは無いけれどそろそろ考えた方がいいと思う。薬はバージョンアップしていくらしい。虫に耐性がついてしまい、その為より強力な薬が必要となるのだ。つまりイタチごっこ。で、利益をあげ続けるのは製薬会社と販売元だという訳だ。この負のサイクルをすぐに経つには相当な体力と痛みを伴うだろう。けれど誰かが、いやむしろ皆が変えなければいけないと思う。成人病の増加や過剰な食物アレルギーなどが食べ物の影響である事はおそらく間違い無いだろう。僕は今後マンゴーを買って食べる機会は少なくなると思う。それに僕はいわゆる高級食材といわれる物にあまり興味がない。フォアグラ、キャビア、フカヒレなどなど。あれらは例え貰ってもおそらく人にあげてしまうだろう。でも旬の素材や、そこでしか味わえないもの、手をかけて育てた特別な野菜などは食べてみたい。それに気にもなる。どういう人がどの様に育て、どうやって屠られたものなのか。こういう食に対する考え方は食べ物を作る人間それぞれに必要なんじゃないかと思う。もちろん業務上、食材の原価やその他のジレンマはどの料理人も抱えてはいるだろうけれど、知っている・知らないだけでも差があるんじゃないだろうか。あとは各自の考え方でいいと思う。しかし、まさかこの仕事をしながらそんな身の引き締まる思いに駆られるとは、、。いやいや、ちゃんと仕事はしていますよ(笑)しかしその他諸々、今回の色々な経験が今後の僕の進路について、ある程度の影響を与えることは確かだと思う。
Posted by 元 at 23:22